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負帰還量とDFの改善量については、
http://ayumi.cava.jp/audio/pow/node12.html#SECTION00242000000000000000
に書いてありますが、
出力インピーダンスが無負荷時の帰還量だけ改善されることを所与とすれば、
負帰還によるダンピングファクターの変化の公式は式の変形だけで説明できます。
使用する値は、以下の4つです。(後で A は必要ないことがわかります。)
DF: 無帰還時のダンピングファクター(0.1)
RL: 規定の負荷抵抗(8Ω)
A: 既定の負荷を接続したアンプの無帰還時のゲイン(10)
NFB: 規定の負荷を接続したアンプの負帰還量(6dB=2)
カッコ内は、黒川達夫著「現代真空管アンプ25選」の数値例です。
出力インピーダンス Ro を求めます。
DF = RL / Ro より
Ro = RL / DF …(1)
= 8 / 0.1 = 80 (Ω)
負荷開放時のゲイン Ao をもとめます。
負荷接続時のゲインは負荷開放時のゲインを Ro と RL で分圧したものですから、
A = Ao * RL / (Ro + RL)
これより、
Ao = A * (Ro + RL) / RL
式(1)を代入して、
Ao = A * (RL / DF + RL) / RL
= A * (1 / DF + 1)
= A * (1 + DF) / DF …(2)
= 10 * (1 + 0.1) / 0.1 = 10 * 11 = 110 (倍)
(黒川さんの著書では、この値が100になっており、誤解を与えますが、
結論は合っています。)
帰還率 β を求めます。
NFB = 1 + A * β より、
β = (NFB - 1) / A …(3)
= (2 - 1) / 10 = 1 / 10 = 0.1 (倍)
負帰還後の出力インピーダンス Ro' は、負荷開放時の負帰還量だけ改善されるので、
Ro' = Ro / (1 + Ao * β)
= 80 / (1 + 110 * 0.1) = 80 / (1 + 11) = 80 / 12 = 6.67 (Ω)
これに式(1), (2), (3)を代入して、
Ro' = RL / DF / (1 + A * (1 + DF) / DF * (NFB - 1) / A)
= RL / DF / (1 + (1 + DF) / DF * (NFB - 1))
= RL / (DF + (1 + DF) * (NFB - 1))
= RL / (DF + NFB - 1 + DF * NFB - DF)
= RL / (NFB - 1 + DF * NFB)
= RL / ((1 + DF) * NFB - 1) …(4)
= 8 / ((1 + 0.1) * 2 - 1) = 8 / (2.2 - 1) = 8 / 1.2 = 6.67 (Ω)
したがって、負帰還後のダンピングファクター DF' は、
DF' = RL / Ro'
= (1 + DF) * NFB - 1
= (1 + 0.1) * 2 - 1 = 1.1 * 2 - 1 = 1.2
となります。
黒川さんの解説では、
具体的にイメージしやすいよう規定負荷接続時のゲイン A を仮定していましたが、
ダンピングファクターの値を求めるのに必要ないことがわかります。
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